ムシ歯の治療

ムシ歯と歯周病を防ぐためには以下の項目が大切です。

ムシ歯と歯周病の原因になる細菌のかたまりであるバイオフィルムを除去すること。
患者様一人ひとりにご自身のムシ歯、歯周病の現状となりやすさ(リスク)を理解していただくこと。
バイオフィルムのMicrobial shift(病原性が高まる現象)を制圧するために、患者様と私たちが協同でメインテナンスをおこなうこと。

 

 

ダイアグノデント

ダイアグノデント(光学式う蝕検出装置)

ムシ歯は経時的にその発生や進行を観察することが難しいものです。視診やレントゲン画像による診断だけでは限界があるからです。そのため、ごく初期の小さなムシ歯も大きく削ってしまい、オーバートリートメントになってしまったり、逆に見えない所で進行してしまったムシ歯を見落とし、手遅れになってしまうこともあり得る訳です。

私たちは、
・早期にムシ歯を発見し
・適切なタイミングで
・出来るだけ最小限の治療をおこなう

ことが、歯の健康を維持する上で不可欠と考えます。

これらを実現するための手段の一つとして、私たちはダイアグノデント(光学式う蝕検出装置)を導入しました。
これは、レーザー光を歯に照射することで歯の内部や隣の歯との間など通常観察しにくい場所にできたムシ歯の有無やその進行度を捉えることが出来ます。
発見したムシ歯は0~99の測定値として確認でき、その値から治療のタイミングや最適かつ最小限の治療方法の提案に、また患者様自身にもムシ歯の状況をご理解していただくことに十分に役立つものと考えています。
 

 

ミニマルインターベンション

当院はムシ歯治療に「MI」Minimal Interventionという基本概念を取り入れています。

「MI」とは、2002年、FDI(国際歯科連盟)宣言で世界中に配信された現代におけるムシ歯治療の概念で、「最小の介入」と訳されます。
要約しますと、

①ムシ歯は細菌感染症である
つまり、その原因菌を減らす必要があります。そのために私たちは担当衛生士によって歯の表面や間、歯周ポケット内のプラークや歯石を徹底的に除去し、細菌が停滞しにくい環境をつくることを目指します。

②患者教育が必要
患者様自身がムシ歯の発生や進行、またその予防について十分に理解し実践していく必要があります。とくに予防については担当衛生士によって徹底したブラッシング指導を行い、一人ひとりの患者様にとって最適かつ継続的な教育を行います。

③う窩(ムシ歯によりあいた穴)を形成していない段階のムシ歯は経過観察を行い、再石灰化に導く
そのために私たちは徹底したプラークコントロール、また必要に応じてフッ素塗布や洗口剤の使用を行います。

④う窩を形成したムシ歯は最小限の侵襲で治療を行う
そのために私たちは最新の診断技術を用い、最適なタイミングで治療を行うことで「なるべく削らない」「できるだけ神経を残す」ことが可能になると考えています。

⑤欠陥のある修復物、補綴物の除去
適合状態や噛み合わせ、形の悪い詰め物やかぶせ物は汚れや細菌が停滞しやすく、二次的なムシ歯や歯周病の原因になるので、私たちは予防的観点から積極的に補修や再治療を行います。
 

 

神経の治療



 

MTAセメント

MTAセメントとは・・・

進行したムシ歯でも、歯の神経をできるだけ残すためのお薬です。
ムシ歯で歯に穴があき、中の神経が露出してくると神経に細菌の感染が起こります。
MTAセメントは神経に侵入した細菌を完全に殺菌し、また、穴を密封することで神経を温存することが出来ます。
すべての症例に適応するわけではありませんが、神経を残す手段として治療に取り入れることは十分に有効だと考えています。
私たちは、進行したムシ歯を治療する際、積極的にMTAセメントを使用し、できる限り歯の神経を温存することを目指しています。
※MTAセメントの使用は原則として自費診療(3,300円/回(税込))となります。
 

 

精密根管治療

根管治療とは・・・

歯の根の中にある歯髄(神経や血管など)が通っている管を根管といいます。
歯髄が深いムシ歯や外傷などで炎症を起こしたり、細菌の感染が起こった場合、それらの汚染物質を除去・消毒し、薬を詰め込んで炎症が起こらないようにする治療のことです。

抜歯を避け、歯の根を残すために重要な根管治療はとても細かく複雑な形状の根管内での作業で、少しでも細菌を残してしまうと治療後も痛みや違和感が再発してしまう難易度の高い治療です。


従来の治療は肉眼でおこない、歯科医師の経験や勘に頼ることの多かった根管治療の成功率を格段に向上させるために、私たちはマイクロスコープを活用しています。

マイクロスコープを用いることで、患部(術野)を3〜24倍に拡大。治療の最小限化と正確性の向上を狙います。